商品購買の店頭決定率は約80%(業種により差異がある)と言われています。インターネットで閲覧し、すぐに購入できる時代ですが、やはり実物を確認し、商品を理解してから買う確率が高いと言えます。また、店頭での非計画購買の発生率の高さ(食料品店で80%以上)も見逃せない数字です(業種や形式で差異はありますが)し、最近の人手不足による説明不足の補充としても有用です。全ての来店客に対して、店内の多くの情報を効率的に伝え、ベネフィットを感じてもらいましょう。この様に、POPは店舗運営には欠かせない重要なツールと言えます。
役割としては下記のようなものがあります。
・商品の魅力を強調する:商品やサービスの魅力や特徴を分かりやすく伝え、購入理由を引き出します。例えば「期間限定」「特別価格」
「新商品」「〇〇個限定」などのコピーを用いて商品の注目度を高めます
・プロモーションやセール情報の告知:特典やキャンペーンなどの情報を伝え、お客様にお得感を感じさせ購入を促進する
・ブランドやお店のイメージを強調:キャッチコピーやロゴ、イメージカラーなどをブランド認知を高めたりイメージを強化したり統一感のある
ブランド世界観をアピールします。
・商品の位置やカテゴリー分類の案内:店内のどこにどのカテゴリーの商品があるかを示す事で来店客をスムーズに目的の売り場へ誘導します
・顧客の注意を引く:視覚的に目立つ色やデザインを利用して注意喚起を表示し、安全を確保し事故やトラブルを防ぐために使用されます。
1. 棚札(シェルフトーカー)
商品棚の前面に取り付けられる小さなサインで、商品の価格、割引、特典などを表示します。顧客が商品を選びやすくするための情報提供に役立ちます。
2. スタンドPOP
商品の横や近くに置かれるスタンド型のPOPで、視覚的に目立つデザインで商品を目立たせるために使用されます。新商品や特別なプロモーションを宣伝するためによく使われます。
3. ウィンドウサイン
店舗の窓やガラス部分に貼り付けるPOPで、店舗の外からも見えるため、新しいプロモーションや特典を審査人にアピールする効果があります。
4. フラッグ型POP
細長い旗のような形をしたPOPで、商品棚やレジの周りに取り付けられます。
5. パネル型POP
壁や柱、天井から吊るして使用する大きなサインで、店舗全体的な雰囲気や装飾の一部として利用されます。季節のテーマや大型キャンペーンの告知などにも使われます。
6. フロアステッカー
店舗の床に貼られるPOPで、顧客の目線を下に向けることで新しい商品やプロモーションを告知する役割を果たします。また、商品の場所や行動をサインとしても使用されます。
7. カウンターPOP
レジカウンターや接客カウンターに設置されるのPOPで、クロスセル(追加販売)を促進するために利用されます。例えば、キャンディやガムなどの小物商品を追加で購入させるためのサインとして活用されますます。
8. デジタルサイネージ
デジタルディスプレイを使ったPOPで、動画やアニメーションを流して視覚的に強いインパクトを与えます。プロモーション情報や商品の使い方を動的に伝えることができるため、注目度が高まります
お店の販促物(POP)には様々な種類があります。以下は一般的なものです
チラシ・フライヤー: お得な情報やセールの告知、新商品の紹介などを伝えるための印刷物。色とりなデザインや目を引くキャッチフレーズが使われることが一般的です。
ポスター:店内や屋外に掲示され、特別なイベントやキャンペーン、新製品の宣伝などに利用されます。
デジタル広告: ウェブサイト、ソーシャルメディア、電子メールなどのデジタルプラットフォームで使用される広告。
動画広告、バナー広告、ソーシャルメディア広告などがあります。
セールスプロモーション:特別なセールや割引、バンドルセットなど、期間限定で価格を値下げするプロモーションです。これは消費者に商品を購入しやすくするための手法です。
ポイントカード・会員制度:顧客忠誠度を高めるためのプログラム。商品の購入金額に応じてポイントを一時し、特典や割引と交換できる仕組みです。
サンプリング: 新商品や人気商品の試供品を配布して、顧客に商品の味や品質を体験させる手法。
イベント・キャンペーン:特定の期間において、店舗内外でイベントを開催することで注目を集め、集客や売上の向上を目指します。
クーポン: 割引や特典を提供するクーポンを発行し、顧客に商品やサービスをリーズナブルな価格で提供する。
これらの販促物は、店舗の目的やターゲットオーディエンスによって選択され、組み合わせられることがあります。
また、デジタルマーケティングが進む中で、オンラインとオフラインの統合も重要視されています。
ビジュアルマーチャンダイジングが必要な店舗・企業の悩みはどんなものがあるか?また、どんな企業にVMDが必要か?
デザインと機能性のバランス:商品を魅力的に見せつつ、容易に手に取れるようにするバランスをとるのは難しいです。
美しく配置されているが商品を取り出しにくい、あるいは反対に手に取りやすいが視認性が悪いなどのディスプレイでは、消費者の購買行動に影響を与えることが難しいです。
消費者行動の理解:消費者が店内をどのように動くか(導線)どの商品に興味を持つかを理解することは、適切なビジュアルマーチャンダイジングのために必要です。これには消費者の購買行動を研究し、分析する能力が求められます。
在庫管理との結びつき:売れ筋商品を前面に押し出すためには、在庫管理とビジュアルマーチャンダイジングを連携させる必要があります。商品の在庫が不足した場合や、新商品が入荷した場合に、すばやくディスプレイを更新することが求められます。
コストと労力:効果的なビジュアルマーチャンダイジング施策を行うためには、一定のコストと時間が必要です。
特に小規模店舗やスタートアップ企業の場合、リソースの制約が悩みの一つとなることがあります。
また、人手不足も昨今深刻な問題となっています。効率的な店舗運営、管理を行なうためには、VMDの知識が欠かせないでしょう。
季節やトレンドの変化に対応:季節や流行の変化に応じてディスプレイを更新することは、消費者の関心を引き続ける上で重要です。しかし、これらの変化に素早く対応することがおざなりになってしまい、他店に遅れをとってしまう事で、入店機会を逃してしまいがちです。季節感を出した店内演出や時代を反映した販促は、実店舗にとって重要課題です。
これらの課題を解決するためには、消費者行動の理解、在庫管理、デザインのスキル、そして戦略的な施策が必要とされます。
店前で使う販促物に、「布」で出来たツールがいくつかあります。
タペストリー、暖簾、のぼりなどは、旧来から利用されている、客を呼び込む為の定番の販促ツールです。
盛況感の演出だけでなく、お店らしい佇まいを形成し、入店しやすい雰囲気を醸成させる便利で手軽なエレメントです。
この中で「のぼり」は様々な業種の店舗に利用されている代表的な布製品です。
お店の打ち出し商品や、キャンペーンなどのイベント、新サービスなどを、店舗から最も歩行者に近い面前道路近くに設置しているのですから、イヤでも視界に入ってきますし、動いているものは誘目性があり、その伝達効果は抜群でしょう。大型の施設の敷地の外周に沿って、数十本ののぼりが規則的にぐるりと設置され、風にはためいている様子は活気があり、「元気、エネルギッシュな店」というイメージを訴求することも出来ます。
のぼりの使用についての注意点ですが、最近ではカフェやレストランなどの飲食業でも使用されていますが、「ランチ」「ワイン」などを表記した、いかにも通販で購入した既製品と思われる、どこかの店でも見たような物もちょくちょく散見されますね。お店の店舗デザインと比べて違和感のある色やフォントであったり、また、店の「格」によってはのぼりそのものを掲示しないほうがいい場合もあります。もうお分かりでしょうが、5千円のランチを提供しているお店では、そのイメージが損なわれることなく、せっかくの格調高い店舗外観を格下げするようなことも回避
できるからです。なぜなら、のぼりでの販促はどちらかと言えばカジュアルな方法だからです。
のぼりは比較的安価な販促ツールですが、飲食に限らず、お店の「ビジュアルイメージ」に合わせてオーダーすることをお勧めします。イメージカラーやロゴマークに合わせた販促物を使用しているお店はビジュアルの統一性があり、遠くからでも目立ちます。これを実践している不動産会社のセンチュリー21は見事な統一性があります。
小売店には欠かせないPOPには目的別に色々な種類があります。
プライスカード、ショーカード(説明POP)、誘導サインやディスプレイの一部でもある演出用POP・・・・。
商品を理解してもらう、買い物客を目的の売り場まで誘導する、商品を引き立たせる演出など、購買意欲を促すための重要な販促ツールです。
POPのデザインも様々です。スタッフ手書きの説明POPは、お店の人の気持ちが直接伝わってくるようで、体温が感じられ、説得力のあるPOPです。文字はマーカーで書いたポップなものや力強いタッチの筆文字など、商品の特徴に合ったデザインが望ましいですね。
作る際は、店の格式やイメージに見合ったPOPを作ってください。カジュアルで商品価格も比較的安い場合は手書きの親しみやすい文字に共感を持ってもらえます。ただ、癖のある文字や筆文字で書いた文章は可読性が悪くならないよう気を付けてください。読んでもらわなければ意味がありません。
パソコンで作る場合、フォントは商品の特徴を考慮しながら選んでください。老舗店の昔ながらの製法で作られたお醤油を説明するPOPには丁寧で柔らかい印象の明朝体が企業の歴史や商品の価値を伝えてくれます。家電製品や高級な文具はやや堅い印象のゴシック体の高級感が誠実に商品説明してくれます。
また、商品のイメージを伝えたり店の世界観を醸成するための演出用のPOPはディスプレイとして効果を発揮してくれます。画像は文字よりも誘目性がありますし、食品だと大きくアップにした画像は何よりシズル感溢れる演出でまさに物言わぬ販売員です。POPは適材(デザイン)適所です。
VMD社員研修(お菓子メーカー)のワークショップで、商品開発の際の販促方法 : マーケティングの実践をやっていただき ました。私の方で設定した架空のお菓子を商品化し売り場に展開するまでの「販促計画」を立てて行きます。
売り手側の一方的な思いで新商品を闇雲に作り、棚に適当に並べておいただけでは打ち出しが弱く、訴求力のない販促になってしまいます。
お客様に財布を開かせるためには説得力のある販促計画をしないといけません。この表は販促の5W1Hで、ターゲットや販促のタイミング、陳列、展示する場所など、商品を企画開発して売り場に陳列するまでの計画を進めて行くための指針となる項目です
大まかなプランが決まったら、さらに商品が出来上がるまでに下記のような項目の具体案を決めて行きます。
Part2へ続く
さて、今回は「1個5,000円の焼き菓子」という架空の新商品をどのように計画し、展開して行くかというワークをやっていただきました。
ミーティング形式で話し合っていただきましたが、受講生さん達からなかなか面白いアイデアがたくさん出てきて、私もとても勉強になりました。1個5,000円と言うと、なかなかのお値段ですよね。なので、まずは季節限定商品で、さらに数量限定販売で希少性を打ち出し、ロイヤル顧客を優先して予約販売制にする。などのアイデアが出てきました。私はとてもいいアイデアだと思いました。マーケティングの手順に則った販促計画ですね。
「ロイヤル顧客」とは、お店に大きな利益をもたらしてくれるリピーターです。
お客様は自分を優先的に扱ってくれるお店に愛着を感じ、ますます店に足を運ぶようになります。
(パレートの法則に従えば、顧客の中の2割の上客が売り上げの80%を構築しているという事になります。)
また、季節限定と言うことはその時期の旬の材料のみ使った、一度に多く生産することが難しい、凝った製法の商品なのだろうと、お客様が値段以上の価値を感じた時に初めて購買に結びつくのです。
ビジュアル面では、値段なりの打ち出し方をしなくてはなりません。パッケージの色やデザインは、高級感があるだけでなく、お菓子に使われている材料がチョコレートか、果物か?どの季節に展開するかなど、お客様がその要素に対して抱いているイメージに合ったデザインにする事も大切です。
販促の5Wの中に「Why」(なぜ)という項目があります。
これは発売者側の「意図」を「テーマ」として訴求するということです。例えば、「創業当時から伝わる秘伝のレシピをさらにアレンジして、地元の旬の素材のみを使い、体に優しいお菓子を作りたかった。」という、地産地消や健康をキーワードとしたストーリーや拘りなどの「事」を訴求するのです。何故5,000円もするのか?素材や製法にこれだけ拘ったものだからという、作り手のエネルギーが感じられる事でお客様は共感し、価値を感じてもらえます。
売り場で展開するときにはそのテーマをディスプレイや販促品などに落とし込みます。その方法は、やはりPOPが一番
作りやすく伝えやすいでしょう。アイキャッチになる「キャチコピー」で注目させ、素材や製法などの内容は「ボディーコピー」で伝えます。キャッチコピー、ボディーコピーの書き方は別の機会でお話ししますが、説得力のある文章で商品に対する理解度を高めることが目的です。次に、陳列場所は店内のどこにするか?常温、冷蔵などの条件もあるでしょうが、やはり目立つ場所に販促物とセットにして陳列することは当然です。
他の商品と一線を画する様に配置し、お客様にも特別な商品として一目で分かってもらわないといけません。
小スペースでも専用の売り場を設けたり(テーブル一台でもOK)、棚のスペースを広めに取ったり、ディスプレイの色を絞って展示、陳列するなど、誘目性を考慮しながら売り場を作りましょう。ショーケースの中なら、スペースがかなり限られてきます。ショーカードのデザインを他の商品と差別化し、やはり販促物とセットで陳列しましょう。
この様に、新商品を企画する際は、商品の事だけでなく、「どうやって売るか」を考案しながら、売り場展開までのプランを作って行きましょう。
◆POP制作の際のルール
同じ店でも、作る人によってサイズや文字が違っていたり、商品ごとにフォントや文字色が違う、など、ルールを設けないと店内が乱れていたり、識別できずに買い物客が混乱したり、読みにくさから、せっかく作ったのに読んでもらえないなど、ネガティブ事項が発生します。この様な事態を回避する為の主なチェック項目を挙げました。この他にも、ブランドや商品特性、顧客特性に合わせて店独自のルールを設けてもいいでしょう。
また、ルール化する事で、担当が変わっても引き継ぎがスムーズ、誰が作っても同じ規格で制作出来る、指導の時間が短縮出来るなど、店側のメリットも多々あります。
◆制作方法と留意事項
・デザインとトーン&マナー(ガイドライン設定)
・レイアウト(文字やイラストの配置)
・文章メリハリと見やすさ
・サイズ整合性
・色
・フォントの選び方
・読みやすさ
可読性(文字がはっきりとしていて、分かりやすいかどうか)
視認性・明視性(はっきりと確認出来るか)
判読性(文字や手書きの字が正しく読めるかどうか)
・フリー素材の活用・パワポでの制作方法
◆店内設置の際の注意点
・客動線に沿った設置方法(タイトル、見出し、本文など)
・棚割と分類POPの設置(サイン)
・統一性と設置ライン
・適量(多すぎ 少なすぎ)
・POP視認性(商品視認性)
・設置器具の使かい方
・適所(必要な場所にないなど)
・清潔感(色褪せ 汚れ 破れ)
・期限切れ 季節外れ
・整合性
当社のVMD研修とセミナーでは、POPなどの販促物の制作方法の講義を行なっています。と言っても、手描きPOPの演習ではありません。
最近はCANVAなどネット上のツールなどを使って簡単にプロ並みのPOPが制作出来る様になりました。
中にはAIで希望のイラストを制作したり、動画まで作れるツールも登場したりと、本当に便利な世の中になりましたよね。また、膨大な数の素材(イラストや画像、動画まで)も手に入れることが出来ます。これらを利用して自店のPOPを作る際のコツや注意点を、研修で習得していただくのですが、内容は、
・業種や訴求内容に合った素材の選び方、利用の際の注意点
・文章の書き方・・・簡潔にポイントを伝えるための書き方など。
・キャッチコピーの書き方
・画像やイラスト、文章の配置
・POP要素の構成
・配色(色の組み合わせ)や色の選び方
・バランス、メリハリなどのデザインの法則
・POPや商品の視認性
・器具の使い方、設置の際の注意点
など、販促物を制作する前の理論を学んで頂きます。その方が制作の際の手順や、「型」に沿って作ることができるので、毎回悩む事なく、構成の型通りに作りながらデザインのバリエーションを増やすことが出来ます。社員研修でこの理論を学ぶ事で、どの社員が作っても、同じ程度の制作物ができる様になるという事です。
法則やルールがない店舗は、店内のPOPのサイズ、デザイン、設置器具などがバラバラで、とても雑多で見苦しい印象になってしまいます。POPも店舗デザインの一部なので、見た目の統一感も大事です。
POP研修・セミナーでは、この様なNGが発生しない様なルール作り、いわゆる「POP制作設置のガイドライン」を作る事を推奨した上で、店舗の業種や商品に合わせた講義を行います。最近の講義ではパソコンを持参して頂き、パワーポイントで、事前に用意した素材を使いながら自社商品のPOP制作を実践していただくカリキュラムを投入しています。キャッチコピーや本文も自身で制作し、適当な素材を選択して組み合わせて行きます。
会社によっては自社の専用ツールを持っているところもありますが、あまり活用されていないのなら、素材や文章を配置していくだけだと思うので、是非応用して頂きたいですね。